2002年05月06日

ロマンス主義週間



ワールドスタンダード/鈴木惣一烽フ 実録!モンドくん日記


「趣味を軽く扱うな。趣味は選択であり、その人の生き方につながる」。ハリーの名著『地平線の階段』からスーザン・ソンタグ氏の引用です。ホントその通りで、音楽にまつわることすべてが僕のお仕事であり、全くの趣味。だから毎日がお遊びでお仕事。ですから、たのしくたのしく疲れます。この「モンドくん日記」は基本的に僕が毎日、何を見て、聞いて、買って、読んで、何を感じたか?それだけを記したものです。けれど、その記述だけで僕自身の全人格、生き方がわかります。わかるはずです。すべて実録いやホント。気軽に毎週ウォッチングしてみてください。さあ、今日から貴方もモンドくんウォッチャーだ!。(鈴木惣一朗/worldstandard)

ロマンス主義週間

4/29(月)
タワーレコード・ストア・イベントの日。今日、ずっと想っていたことを記しておこう...。フェデリコ・フェリーニ監督の映画に『カビリアの夜』というジュリエッタ・マシーナ主演のとんでもなく哀しい作品がある。ぼくがフェリーニ作品の中で最もお気に入りのものだ。映画の内容はあえて記さないが、ラスト・シーンでカビリアは、恋人にひどく裏切られ、「もう死にたい」という気持ちで、路上を裸足で歩く。夜の深い時間帯。絶望的なシーン。見ているひとも目をふせる。すると、どこからかギターを持った若者たちが、歌いながらやってくる。みんなすごく楽しそうだ。泣いているカビリアを自然に取り囲む。ふわりと。慈愛の響き。ニーノ・ロータの素晴らしいメロディ。天使の羽というものがあるなら、まさに彼らが奏でた音楽はそのものだ。そっと、彼女を包み込んだ。泣きながら笑っている。次第にカビリアは笑顔を取り戻す。そして、当時の映画としては決して、してはならないことをカビリアはしてしまう。何と、カメラを見て、観客に微笑みかけてしまのだ。女優としてのタブー。もはや、映画という、物語りの世界から、現実のぼくたちに微笑みかける。「大丈夫。わたしはもう歩いてゆける。音楽が救ってくれた。だから、あなたたちも平気。多分、どんなことがあっても、歩いてゆける」。無言で、彼女は微笑みで語りかける。確実にそう言っている笑顔。シーンが暗転してからも、音楽はずっと鳴っている。灯りがつく。観客は皆、泣いている。19才のとき、ぼくはフィルム・センターで、生まれて始めてこの映画を見て、見終わった後、胸が震えていた。劇的な体験。信仰を持たない19才の子供が、ある種の信仰に目覚めた瞬間。当時の習慣で、その時の様子をぼくは録音していた。見る映画の雰囲気を記録したくて、音楽が聴きたくて、今のようにレアなサントラ盤なんて全くない時代だ。ビデオだってなかった。だから、いつも録っていた。ぼくは家で目をつむって聴いていた。「カビリアの夜」を聴いた。何度も聴くのだ。ラスト・シーン、いつも耳を側立てた。音楽がすごくいい。そして、いつか自分でもそんな楽団を作ってみたいと思った。ワールドスタンダードはそうやって始まったものだった。ついぞ、忘れていた。そんなことを今日、思い出したのだ。20年近い時間が流れ、ぼくは本当に、その理想の響きを持つ楽団を、素晴らしい仲間たちと得たのだった。12人のメンバーで奏でた今日のサウンド、ずっと想っていた天使の羽の響き。こんなにうれしいことってない。

4/30(火)
タワーレコードのフリー・マガジン『バウンス』用にエレクトロニカについて「デスクトップという生ギター」(?)という不思議原稿書き、送る。やはり、相当に疲れている。

5/1(水)
5月。疲れている。しかし、渋谷FMのゲスト生出演で早起き。完全に寝ぼけていて、ぼくは収録寸前までアノニマスのプロモーションだと勘違いしていた...。やはり『ジャンプ・フォー・ジョイ』のプロモーションでした。ノソノソ話し、ノソノソ帰宅。

5/2(木)
秋葉原/ボックス&コックスへ。アノニマスの新曲のレコーディング日。少しトロピカルなナンバー、うまくゆく。良い。彼らも音楽的に光りが見えてきた気がする。少し安心した。


5/3(金)から5/5(日)
世の中的に大型連休気分たっぷりの空気。しかし、ぼくはワールドスタンダードの極秘作業。軽くミックスを仕上げる。すでに、ゆっくりと次のプランは動き出した。そんな感じ。

5/6(月)
ワールドスタンダードの極秘作業、続き。アノニマス/カンちゃん、自宅に来る。歌録音。テイクは5つプールする。夕方、山本哲也くんも呼び、はっぴいえんどトリビュート・ライヴ用の譜面整理もする。少々、働き過ぎ。
posted by dwww at 00:00| 実録!モンドくん日記