2001年12月31日

さようなら2001年週間



ワールドスタンダード/鈴木惣一烽フ 実録!モンドくん日記


「趣味を軽く扱うな。趣味は選択であり、その人の生き方につながる」。ハリーの名著『地平線の階段』からスーザン・ソンタグ氏の引用です。ホントその通りで、音楽にまつわることすべてが僕のお仕事であり、全くの趣味。だから毎日がお遊びでお仕事。ですから、たのしくたのしく疲れます。この「モンドくん日記」は基本的に僕が毎日、何を見て、聞いて、買って、読んで、何を感じたか?それだけを記したものです。けれど、その記述だけで僕自身の全人格、生き方がわかります。わかるはずです。すべて実録いやホント。気軽に毎週ウォッチングしてみてください。さあ、今日から貴方もモンドくんウォッチャーだ!。(鈴木惣一朗/worldstandard)

さようなら2001年週間

12/17(月)
いつものマックの先生/山本哲也くんと自宅で作業。ずっと続けてる。はっぴいえんどのトリビュート・レコーディング用に面白い試みをするためだが、機材に問題が発覚し、渋谷T-ZONEへ車を飛ばす。購入は無事終わり、途中、3階のロック売り場をぶらり散策してると...。「おお!」。サロン・ミュージック/吉田仁氏とひさしぶりに偶然出会い、熱い握手!。吉田仁氏はぼくの音楽の先輩。遥か20年近く前、かつての六本木WAVE開店時のテープ・コンテストで、ぼくは(ワールドスタンダード名義で)氏に自分の音楽を気に入ってもらい、入賞した。確か「キッチン・ミュージック」というテーマで、テクノのランチ・タイム・ミュージックを作ったと記憶する。それから時々、意外な所で会う感じだったが、7年ほど前、プロデューサー/ナベケンの引き合わせで六本木の中華飯店で一緒に食事をしたことがある。実現はしなかったが、実は共にレーベルをやるという不思議な提案だったと思う。その時、お互いにどんな機材を使って、どんな録音方法が良いのか教えあった。氏はぼくにマーシャルのミニミニ・アンプから音を出すと意外に良い音が出ることを教えてくれて、当時、スタジオで即、実践した覚えがある。本物のアンプは使わず、おもちゃのようなミニミニ・アンプから小さい音でギターの音を出すのだ。音楽の実験はキリがない。吉田仁氏はぼくのずっと前からそれを実践していた稀な音楽家だ。こういうさりげない偶然で、人に会うのは嬉しいもの。

12/18(火)
はっぴいえんどのトリビュート曲、再アレンジの連日。少しづつ、方向性が変わってきた。今月はもう、この一曲を完璧な仕上がりにするため、他の仕事をポーズしてある。頭ではサウンドがワンワン鳴っているのだ。イメージ通りに仕上げたい。

12/19(水)
ムースヒル五郎さん(&333ディスクス大倉さん)とひさしぶりに会い、来年のコラボレーションのミーティング詰める。本当にぼくはどんどん音楽制作しないと、すべて追い付かないぞ。
グッドな冬の音源...JULIE DOIRON『DESOURMAIS』

12/20(木)
くるくる繰り返される、はっぴいえんどのトリビュート曲、再々アレンジ。

12/21(金)
今にも雪が降る、寒いくもり。山本哲也氏&アノニマス/セイゲンくんと、赤坂/アメリカ大使館裏の厳戒体勢のエリアにある、秘密?のピアノ・ルームで、はっぴいえんどのトリビュート曲のピアノ録り。このピアノ・ルームは音大生が自己練習をするために作られた所だが、きれいなグランド・ピアノの鳴りが録れるということで初めてのトライ。ぼくのベーシック・トラックをマックでCD-Rに焼いて、それを聴きながら、ピアノのダビング、マックに録音。自宅に持ち帰りDSPのエフェクトをほどこしてA-DATへ解凍、日曜日に福岡くんのスタジオで更に作業を続ける。モノ録音でダブル録りした今日のピアノは、ヴァン・ダイクが酔っぱらってハリウッドっぽく弾く感じに仕上がり満足。

12/22(土)
はっぴいえんどのトリビュート曲、今日までのトラック(14トラック分)を一旦2ミックスする。いよいよ明日から金管、弦、リズム、歌のダビングだ。

12/23(日)
少し風邪気味。寒い日続く。お休みで誰もいない、しんとした秋葉原。福岡くんのスタジオへ。早くスタジオに着いたが、家主はまだいなくて、フィル・スペクターをウォークマンで聴きながら少し待っていると、あれ?顔なじみの男がニコニコ笑い近づいてくる。エンジニアの土井くんだ。実は彼もオフの日、このスタジオで、何と音の追求のため、それだけのためにデモ・レコーディングを繰り返している。凄い男だと思う。今日は渡米の前に自分のマイクを取りにきたという。オールマン好きの土井君は近年のジャム・ミュージックに完全にハマっていて、何度もアメリカへ見にゆく。もう、ぼくなんか知らないジャム系のバンドばかりで、時々、車の中で聴かせてもらうのだが、これはもう現地で体験しないと解らない種の音場だ。.....さて、今日のぼくの録音はずっと続けてるはっぴいえんどのトリビュート曲の金管楽器録音。アノニマス/ゴンドーくんを呼び、ユーフォニウム、トランペット、トロンボーンなど10トラックを2時間ぶっ続けて吹いてもらった。途中、「ソウイチロウさん、少し休ませてくださいよぉ」と頼まれ、2分ほど休ん?でもらい、「ひぇーカンベンしてぇ」などと言われつつ、更に1時間作業。ささ?とラフ・ミックスして終わった。明日はこの続き。


12/24(月)
クリスマス・イヴ。再び、しんとした秋葉原へ。山本哲也氏スタジオに登場。せっかく来てくれたのだからと、足踏みオルガンを少し弾いてもらう。これが実に良かった。何か、ずっとやっているアレンジの方向性がやっと固まった感じ。さっそく、昨日のラフ・ミックスを修正し、今日までの時点のミックスがほぼ完成する。ぼくは通常の音楽家と異なり、ミックスを繰り返しながら音のダビングを繰り返す。クリエイトと編集作業、右脳と左脳を同時に働かすやり方が好き。自分がトランスして盛り上がってくる。夕方、チェリストのセイゲンくん登場。たおやかな素晴らしい音色で空間を埋めてもらう。失われた亜米利加の原風景が目に浮かぶ音。ぐっと来たので、一番最後にリズムを入れ、今日を終了。うれしい気持ちのまま、福岡くんが、息子トーゴーくんのためにクリスマス・プレゼントを買うというので、彼の黄色い車で、一緒に原宿キディランドへ。街はクリスマス・デコレートされ、人々は何事もないかのように、きらきら幸せそう。こんなに大変な時期の今年のクリスマスに、嘘のように、こんなにきれいな夜。閉店間際のおもちゃの店で、福岡くんとぼくはクリスマス・プレゼントを急いで探した。たわいもないこと(だからこそ)二人で夢中になれて、ぼくはうれしかった。今日は良いクリスマス・イヴ。

12/25(火)
はっぴいえんどのトリビュート曲録音最終日。昨日のリズムにもうひとつのドラムをダビング。高田レンくんに、ペダル・スチールを軽く入れてもらい、夕刻4時、KAMA AINA/青柳くんを迎える。福岡くんも、レンくんも青柳くんとは不思議な縁で皆、知り合い。挨拶を済ませ、早速、3コーラス目に歌を入れてもらった。青柳くんは、実に感のよい音楽家。ぼくのリクエスト、その意味をすぐに理解し、レコーディングは1時間で終了。良い歌が録れた。後で知ったのだが、彼が自分のグループ以外で歌を歌うこと、しかも日本語で歌うことって、ほぼ始めてらしい....。6時近く、ミックスのディティールを詰め、遂に完成!。イメージ通りに出来た。記録しておくと、今回の一曲の制作日数は延べ2週間。ずっとではないけど、随分と、時間がかかったなぁ。帰宅後、夜、担当ディレクター/ビクター/石田くんが「すぐに完成トラックを聴きたい!」というので、我が家に来る。仕上がりに「やばいですぅぅぅぅ」を連発してくれて相当に気に入ってくれた様子。これで、ぼくの今年の仕事収め。よかった。よかった。

12/26(水)
朝、ディレクター/石田チューバッカ功次郎くんからメール。昨日からすでに、ぼくのトリビュート曲を30回も聴き続けてるとのこと。担当ディレクターがこんなに喜んでくれたのだから、ぼくの2週間の努力は報われた。少し放心状態。放心のままに、夜、渋谷の居酒屋/佐賀へ。ここは、かの居酒屋評論家、あの太田克彦氏の御推薦のお店なのだ。初めて来た。メンバーはノアルイズ/タケ&ヨリ&モリタ、福岡くん、藤原マヒトなどなど。旨いたくわんを食べつつ皆で和んでいると、事件は起こった!。帰り際、ぼくがトイレに行こうとすると、狭い通路で何やらお店の取材を終えたらしき紳士と鉢合わせた。目の前の、その顔を見てびっくり。相当にびっくりした。だって、あの、御本人!太田克彦さんなのだ。咄嗟に「オッ、オッ、オウタァさんですぅよねぇ?」とへろへろ叫ぶ。「はぁ、そうですが」などとおっしゃる。某雑誌の取材と言う。いやあ、びっくり。偶然というには出来過ぎ。持っていた著書にサインなども頂けて感無量。真の趣味人/太田さんに会えて、今年一年の締めくくり、御褒美なのだと思った。

12/27(木)
下北沢ONSAへ。今日はノン・スタンダード再発に関して「CDジャーナル」の方から取材を受ける。リマスタリングの音を随分気に入ってくれた様子で、どうやって、リマスターしたのか細かく質問を受ける。非常にマニアックな方で、今回の音郡と、24ビット/K2デジタルとの相性の良さをレクチャーされた。夜はひさしぶりにP-VINE塚本くんと早くも来年のいくつかのプロジェクトのミーティング。更に、その夜はノアレコのカナちゃん、そして昨日に引き続き藤原マヒトなども交えて、アノニマスのメンバーと忘年会と、何だか訳の解らない一日。終了は夜中の3時過ぎ。一日中なんか、飲んでた気がする。
今日出会えた、ものすごく素晴らしい音源...モニカ・クイーン『テン・ソロウフル・ミステリーズ』:ベル&セバスチャンの客演で有名な女性シンガー。ネオアコな内容だろうと舐めてたら、これがびっくり。チープな打ち込みのオケにニール・ヤング調。もう少し書けば、全編泣きのポスト・エミルー・ハリス調。いやあ、古臭いビブラートに心打たれた。きっとデヴィッド・リンチ監督も聴いたらお気に入りでしょう。お薦めします。

12/28(金)
来年ヴィヴィッドより再発される、あの!幻のオレンジ・カウンティ・ブラザーズのデビュー盤のライナー書き一日。これで本当に今年の仕事収め。

12/29(土)
家中のチリやホコリ、一気に大掃除の日。張りきり過ぎて、そのチリやホコリを自分で吸い、鼻風邪をひく。自業自得。グズグズ。


12/30(日)
体調グズグズのまま、なんとか、かんとか、実家へ帰省。今年もお疲れさん!。

12/31(日)
正月休み恒例の連日映画鑑賞、トップはトム・クルーズの「バニラ・スカイ」。全く期待してなかったのに、もう最高!。すっごく面白かった。うむむむむ。

「さようなら2001年」。来年は明るい年に。

2001年最後の音源.....ポール・マッカートニー「バニラ・スカイ」
posted by dwww at 00:00| 実録!モンドくん日記