2001年09月11日

ノアルイズ・デビュー盤レコーディング週間



ワールドスタンダード/鈴木惣一烽フ 実録!モンドくん日記


「趣味を軽く扱うな。趣味は選択であり、その人の生き方につながる」。ハリーの名著『地平線の階段』からスーザン・ソンタグ氏の引用です。ホントその通りで、音楽にまつわることすべてが僕のお仕事であり、全くの趣味。だから毎日がお遊びでお仕事。ですから、たのしくたのしく疲れます。この「モンドくん日記」は基本的に僕が毎日、何を見て、聞いて、買って、読んで、何を感じたか?それだけを記したものです。けれど、その記述だけで僕自身の全人格、生き方がわかります。わかるはずです。すべて実録いやホント。気軽に毎週ウォッチングしてみてください。さあ、今日から貴方もモンドくんウォッチャーだ!。(鈴木惣一朗/worldstandard)

ノアルイズ・デビュー盤レコーディング週間

※日々に忙殺され、日記の更新が遅れてしまいました。すみませんでしたぁ。今年の夏は稀に見る多忙。晩秋からは、やっと自分のペースで仕事が出来そうです。日記も今まで通りよろしくお楽しみ(鈴木惣一朗)。

9/4(火)
自宅スタジオで、福岡史朗くんの、もうひとつの曲(『今にも雨が』)にひずんだギターと雨の音をダビング。そして、昨日、送られてきたmoose hillのテープをまったりと試聴。夕方、moose hill/ゴローさんに電話でモロモロ相談。やはり、オーディオ・ファイルで送り直してもらうことに...。モロモロ相談、別件もうひとつ。今、マレーシアで録音中のあがた森魚氏と、メールで急遽ストリングスのダビングの件。今月末のミックスで何とかいい感じになるだろう...。

9/5(水)
秋。すがすがしい。「もう、今日はオフ日と決めた!」。渋谷で楽器屋(サウンド・ライク)、服屋(ユナイテッド・アロウズ、ユニクロ)、レコ屋(レコファン、HMV)、本屋(PBC)などを流し、いろいろと買う。ひさしぶりに、音楽、何もしなかった一日。でも、明日からは、遂にノアルイズのメジャー・デビュー盤用のレコーディングがスタートだ。マイキング、レベル等について、ミキサー/土井くんに電話で相談。今日、無造作に、食欲の秋的に食べたものは、天ざる、まつたけごはん、梅干し、ゆでたまご、山芋、ポテト・サラダ、焼き鳥(無論、塩で)、たこぶつ、チョコ・ピーナッツ、えちご&黒ラベルのビール。明らかに、食べ過ぎ。苦しい。

購入音源...ローリー・アンダーソン『ライフ・オン・ア・スロリング』、レディオ・ヘッド『KID A』、JOHN MATTHIAS『SMALLTOWN ,SHINING』、カーリー・サイモン『ボーイズ・イン・ザ・トゥリーズ』、キャロル・ベイヤー・セイガー『TOO』
購入書籍...高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』
頂き物ビデオ...ウイングス『ウイングスパン』

9/6(木)
ノアルイズ・レコーディング、1日目。コンデンサーのマイク2本を無指向にして、背中合わせで、低めにセット。全員でそれを囲み、マイク一本をアンビ用として壁際、高い位置に設置、定位はがっちりとモノラル。チューブのDIもいい感じに浸し、卓側の出力レベルを最大限に上げて、ノーEQ でテレコのヘッド・アンプにダイレクトにインする。自然なアンプ・コンプを狙う。シンプルなことは本当に難しい。何とか、太い、いい感じに録れたとは思うのだが。まだまだ解らない。終了後、少し打ち上げ、ONSAを少し冷やかし解散。頭も身体も、とてもとても疲れた一日。今日はおしまい。

今日聴いた超絶音源.....ケニー・グラハム『ムーンドッグ・アンド・サンキャット組曲』

9/7(金)
レコーディング、2日目。今回のレコーディングでやれることは限られている。マルチ・ダビングはなし。定位もすべてモノラル。無論、エフェクトはゼロだ。一見、無造作なレコーディングに見えるが、やっていることは興味深いアプローチ。楽器の音がイメージに合わない時は、単に演奏表現を変えるか、マイクの向きを変えるか、楽器に一工夫するか、それだけ。何度も何度も、いろんな状態で確認する。遥か、70年以上前の音楽家はすべて、このスタイルだった。たった、これだけの方法で、音楽は雄弁に語れるもの。プロトゥールズを現代的に酷使することと同様、いや、それ以上の音楽の情報量に改めて思い知らされる。録音は本当に奥が深い。

購入音源....ガース・ハドソン『ザ・シー・トゥー・ザ・ノース』

9/8(土)
レコーディング、3日目。そのため、ぼくは毎日、下北沢の街を訪れている。若い街だ。小さなお店が一杯ある。本当に若者の街だなと思う。重い機材を下げて、難しい顔をして、歩いている40過ぎの音楽家なんて、ぼくだけ(当たり前か)。いつまでも眠らない街、庶民的でガチャガチャしてる街、毎日が学園祭のような街...。渋谷のような、妙な緊張感はないけど、ぼくはまだ馴れない。トボトボと、いつも夜の道の脇を歩いている。今はそんな感じだ。

頂き物音源....サンガツ『海』、スモッグ『レイン・オン・レンズ』

9/9(日)
秋の台風来日。レコーディング最終日。4日でノアルイズは11曲を仕上げた。非常に、彼らは録音が早い。飽きっぽい?とも言えるけど、自分たちが出来ることを、己でよく知っている。楽器がうまい下手ではなく、音楽が旨いか不味いかを知っている音楽家集団だ。音楽グルメなのだと思う。そして、打ち上げはいつもやはり、リーズナブルな居酒屋「養老の瀧」で十分。今日こそは、レコーディング最終なので、ちょっとは高いところで打ち上げ、飲むのかと思いきや、いつも通りだった。彼ららしいな。なんて、何となく、さらりと連日の様子を書いてるけど、実は「すごいアルバムが出来たのだよ!諸君!えっへん」。というのが、ぼくの今の正直な気持ち。誇らしい気持ち。みんな、お疲れさま。発売は「now go mix/ブーガルー・レーベル」より、11月28日発売です。

タケマツくんに借りた音源....フィル・スペクター『オフ・ザ・ウォール』
実は毎週ずっと見ていたドラマ....『恋がしたい!恋がしたい!恋がしたい!』:来週が最終回。

9/10(月)
ノアルイズ/アべ&ヨリ、重いアナログ・デッキ搬入と共に来る。家のスタジオであさってのノアルイズ・マスターリングのシュミレーション及びDATマスターの作成。

9/11(火)
激しい台風の合間を抜け、何とか青山フレア・スタジオへ。ノン・スタンダード・リマスタリング最終日。今日はF.O.Eの日。いやあ、何か、このプロジェクト、結構、長かった気がする。'80年代の音をこんな風に長時間、真剣に聴くなんて本当にひさしぶりで、ある意味、勉強になったなぁ。帰宅後、アメリカの例の大惨事を知る。ニュースをずっと見る。音楽が全く入らないニュース。見続けるうち、ぼくはこんな気持ちを抱いた。.....こんなに現実感が増すと、もうニュースから目が離せない。もう戦争になるかもしれない気持ち。すべては今日の現実、明日の現実、これからの不安な現実ばかりだ。人々に音楽や映画なんて見る精神的余裕もない。でも、ぼくは明け方、ニュースを見ることを止め、一枚のアルバムをあえて聴いた。音楽の密度がいつもの何倍も濃い。何度も聴いたレコードなのに、音楽は活き活きと響いた。それで、やっと呼吸が出来た感じで眠る。この大惨事で、ぼくの中の音楽の響きは変わった。こころの中で、今までの何倍も大きく響くサウンド。でも、音楽に何か直接的に、イデオロギー的に変革できる力なんてない。そう思う。でも、いつでも、何処でも、誰にも平等に、音楽はぼくたちを救ってくれる。導いてくれる。きっと、今後、今回のこと、日記にはあえて記さないだろうけど、ぼくは、毎晩、今回のことを考えながら眠る。戦争なんてしないほうがいいに決まってる。わかってる。みんな。

posted by dwww at 00:00| 実録!モンドくん日記