2001年09月03日

ぼくたちの夏は終わった週間



ワールドスタンダード/鈴木惣一烽フ 実録!モンドくん日記


「趣味を軽く扱うな。趣味は選択であり、その人の生き方につながる」。ハリーの名著『地平線の階段』からスーザン・ソンタグ氏の引用です。ホントその通りで、音楽にまつわることすべてが僕のお仕事であり、全くの趣味。だから毎日がお遊びでお仕事。ですから、たのしくたのしく疲れます。この「モンドくん日記」は基本的に僕が毎日、何を見て、聞いて、買って、読んで、何を感じたか?それだけを記したものです。けれど、その記述だけで僕自身の全人格、生き方がわかります。わかるはずです。すべて実録いやホント。気軽に毎週ウォッチングしてみてください。さあ、今日から貴方もモンドくんウォッチャーだ!。(鈴木惣一朗/worldstandard)

ぼくたちの夏は終わった週間

8/22(水)
パリのニール・ヤング/シルヴェイン・ヴァーノのミックス・スタート。ジム・ホワイトの時もそうだったが、ぼくは家でひとのミックスをする時、音をダビングしたり減らしたりしながら一週間、時間をかける。自分で見つけたスタイルだが、彫刻に近い作業。「コツ・コツ・コツ...」。

8/23(木)
青山ビクター/フレア・スタジオへ。いつものノン・スタンダード・リ・イシュー、リ・マスタリング。今日のお宝は『S-F-X』と『ブルートニック』。作業中、先週から痛い首がまだ痛い。「それは精神的なものだよ」と、エンジニアのコータローさんにも言われる。コータローさんの、アフリカの何とかという旨いコーヒーを頂き、帰り際、少し元気となる。

8/24(金)
ノアルイズのメンバーが今日は青山ビクター/フレア・スタジオへ。某大物グループのベーシストSさんのソロ・アルバム用のマスターリング。担当はコータローさんの隣の部屋のMTさん。ぼくは彼らにまかせて家でミックス作業だったが、機材の手配もあり、夕刻、渋谷で結局ノアルイズ・アベ&タケ&モリタと落ち合う。まぁ、落ち合ったんだから、せっかくだしと、昼間から飲む。疲れている。帰宅後、シルヴェインの作業、地道に続ける。

8/25(土)
夜中、青山CAYへ。ライト・イン・ダークネス/村上くんの誘いもあり、「エンジェル・エッグ」というレーベルのイベントを見にゆくついで、出演の青柳くんに依頼されたKAMA AINAのマスター&マルチ・テープも持ってゆく。随分前に作業は終わったトラックだ、気に入ってもらえるといいが。ひさしぶりのノリノリ・ノリオ(map)にも偶然、会う。渋谷のネストで秋に一緒にイベントをやるかもしれない...。

エンジェル・エッグ.ナイト購入音源....kammerflimmer kollektief『Hysteria』
頂き物音源....EUPHONE 『THE LAKEWOOD』、グレッグ&ジュンコ・マクドナルド『PAN-A-CABANA』『PAN-2-PARADISE』

8/26(日)
朝、青柳くんよりメール。喜んでくれてる。もう何度も聴いているとのこと、よかった。ぼくもこのトラック気にいっている。発売はいつだっけ?。さてと、今日は「now go mix nite」の日。再び青山CAY へ。ノアルイズ、ハカセさん、ピアニカ前田さんなどなどが出演。何やらTV録りもされていた模様。ノアルイズは、パブリックなイベントのためか、少し演奏は固かったが、ほぼノアルイズを初めて見るという聴衆に、好意的に受けていた模様。よかった。ぼくは、いろんなひとに会ったが、あのbirdさんも来ていて、ノアルイズのメンバーを紹介する(と言ってもぼくも初対面だったが...)。ノアルイズを気にいったというbirdさんに、リーダー・アベくんは蝶ネクタイをプレゼント。ピースな夜だった。

スパイラルの一階のレコ屋購入音源....hausmeister『unser』

8/27(月)
シルヴェイン・ヴァーノ・ミックス作業、再開。サンプリングのペダル・スチールをダビング。

東芝「しお」から送られた音源....レディオ・ヘッド『ナイヴズ・アウト』

8/28(火)
シルヴェイン・ヴァーノ・ミックス作業。明日のあがた森魚レコーディングの準備。

8/29(水)
池尻大橋/ユニヴァーサル・スタジオ(旧キーストン・スタジオ)へ。今日はあがた森魚氏の録音、初日。メンバーはぼくがドラムス、近藤くん(元ハイ・ポジ)がアレンジ&ギター、栗原くんがベース、関島さんが金管系という感じ。近藤くんはアレンジにニール・ヤングの強いイメージを持っていた。深く理解し、プレイした。一ケ所、フィルを間違える。何とかミ?クスで直したいなぁ。

今日の購入音源....レディオ・ヘッド『AMNESIAC』、bird『flow』、ステレオラヴ『サウンド・ダスト』、ポール・ウインター『ANTHEMS』

8/30(木)
再び、ユニヴァーサル・スタジオへ。今日は、ベスト盤のツアー・バンドでの録音。メンバーはぼくがアレンジとドラムス、桜井くんがエレキ・ギター、ブズーキー、アコースティック・ギター、レンくんがスティール、フィドル、メリーさんが、ピアノ、アコーディオン、シンセ、青木くんがベースとコーラス。ゲストにはビッケさん(ナンバーワン・ソウル・セット)。2曲のすべての作業は、ほぼ16時間近くに渡って繰り広げられ、素晴らしいトラックとなった。あがたさんも御満悦。よかった。ぼくも深い達成感があった。ひどく疲れたけど、うれしい日。ミックス・ダウンは今月末に。

8/31(金)
激疲労なのに神経が高ぶり、寝ていられない、起きてしまう。オフ日だったが、夜、渋谷「ハイファイ・レコード」へ。今日は象徴的な日。アベくんが今日をもってハイファイ・レコードを退社する。ひとつの季節の節目。大江田夫妻、アベ夫妻、松永くん、モンドーくん、トクちゃんくんなどで乾杯。大江田氏に「20代のアベはぼくが育てた。30代の彼は鈴木くんにまかせたよ」とずしり言われる。ぼくは素直に「そうなんだ」とうなずいた。「責任」という文字にほど遠い自分だが、アベくんとの出会いには、もはや避けられぬ領域に入ったという実感が日々ある。大江田さんのメッセージと気持ちがぼくに響いた。「さあ、ぼくたちの夏は終わった」。明日から9月。季節は一気に秋だ。

9/1(土)
シルヴェイン・ヴァーノ・ミックス作業の仕上げへ。ほぼ完了。来週フェデックスで送る。

9/2(日)
秋めいた。秋味ビールも旨い。今日は下北沢へ。ノアルイズ、来週のレコーディング用のリハーサルのはずが、4曲ほどプレイし「もう大丈夫」と、後半は飲み大会になだれ込み、気ずけば居酒屋に。少々、飲み過ぎ。フラフラで帰り際、ONSA に寄り、庄内さんと談笑。「本当にぼくに売るものがない」とまたまたおっしゃる。だから、しばらく話す、音響系の壁の話し、ぼくも同感だった。ビヨークを聴いてしまった今、もう、今まで特別だと思っていた音響系が色褪せるのは当然だ。普通のことになったのだ。「音響ものも細分化され、みんなで一緒に分かちあえる音源がない」とも庄内さんは言う。ひとつの先鋭的なシーンはいつも細分化(洗練化)され、旨味はマジョリティーに吸い上げられる。そして、生き残り組は、最後にはバラバラとなり、ウイルスのように見えなくなるが、しぶとく生き残る。同好者だけのミクロの世界だ。そんな折り、ぼくはレディオ・ヘッドなんかを聴き直す。アプローチは先鋭的と言うより、すでにぼくなんかが知っている音響の世界。ぼくは、普通に楽しめる。変なレコードだと思うけど、今、こんな風に変になるのはまともな感覚だとも思う。レディオ・ヘッドは秀才肌の素晴らしいグループ。つらつら考え、就寝。


9/3(月)
しばらく中断していた、福岡史朗くんの次のアルバムのトラックの自宅ダビング、ようやくスタート。今日は「きみは言う」という曲、フィルター・ドラムとクラップ、変なふいごの音のパーカッションを入れる。
posted by dwww at 00:00| 実録!モンドくん日記