2001年05月09日

コシミハル『フルフル』インタビュー

4/21に『フルフル』を発売したばかりのコシミハルさん。今週はアルバム制作にあたり行ったミニ・インタビューの模様を紹介します。是非、CDを聞きながらお楽しみ下さい。

Q1.今回のアルバムは全てカバー曲ですが、これらの曲を選んだ理由について教えてください。

ここ数年の間、ずっと一番自分の近くにあった音楽を取り上げました。今までにもいくつものカバーをやったんですけど、その中でも一番自分に近い、自分のいちばん心の奥にある音楽を選びました。

Q2.クルーナー(クルーニング唱法の歌い手達)の曲が多いですが、「クルーナー」そして「クルーナー」とは?

今回のアルバムの曲は若い時代のフランク・シナトラやビング・クロスビー、フランスのアンドレ・クラボーという人が歌ってるものなどが中心ですが、それらの人たちは「クルーナー」と呼ばれていいて、マイクロフォンに向かって囁くように歌う「クルーニング」という唱法をとっています。それまでの歌手はマイクを使わないでベルカントなどで歌っていたのを、初めてマイクロフォンを使ってレコーディングやライブを始めた人たちの歌い方です。私はそのような歌唱法がとても好きです。クルーナーはその特徴として、滑らかなビブラートをつけて歌うのですが、私自身の声にはビブラートがありません。でも、演奏する上での精神的なあり方ではクルーナーと同じ場所にいます。感情的なものに流されて歌い上げたりしないとか、そういうところです。それらの楽曲を聴いたときに、歌が他の楽器と同じ様なオーケストラの一部であるという印象を受けたので、自分がこのアルバムを創るときには声もひとつの楽器であるという扱いでアレンジをしました。

Q3.今回のアルバムは、かつて'87年にリリースされたソロ作品『echo de Miharu』や『シャンソン・ソレール』といったカバー集の続編に位置するものなのでしょうか?

自分の中では過去の作曲家の作品を取り上げるということは、自分の作曲をするのと同じ様なところに位置していて、その違いはあまりないのです。そういう意味では、オリジナルもカバー集でも創るときに共通する「創っていく」という意識は同じなので、そういうことではありません。『echo de Miharu』のときはもっと幅広い選曲で、例えば、ディアナ・タービンの「It's been a sunbeams」やモーツアルトの「ハレルヤ」などベルカント風の発声をしていたので、それはちょっと今回の歌い方とは違うかも知れないですね。

Q4.ジャズのスタンダードが多いですが、ジャズにこだわったのでしょうか?

絶えず自分の中で変化している部分もあって、『echo de Miharu』以降、アメリカの古いジャズと、ヨーロッパのものを一緒に聴くのをずっと続けていて、そのなかでたどり着いたところだと思います。沢山聴くことによって、それらの楽曲が自分に近づいたというのがあるのと、客観的にみると、すごく自分が日本人であることを改めて感じました。日本の歴史のなかにはこれらの作曲家がいないということ。だからとても近いんだけども、とても遠いという両義性がある。シミュレーションをするときに聞き取って、譜面に起こすという作業を行ったわけですが、自分にとって、それらを理解するという作業はとても楽しいことでした。

Q5.7曲目の「C'est un nid Charmant(There's a small hotel) 」はオリジナルの”完全なるシミュレーション”に取り組んだとのことですが、シミュレーションとは具体的にはどのような作業なのですか?

この作品はクロード・ソーンヒルの演奏しているものを、レコードから楽譜に書き起こして、それをコンピューターを使ってレコーディングをしました。昔の録音ですから聞こえない音もあるので、それを予測して聞き取り加えて、何度も聴き比べながら、レコードの響きと同じように聞こえるように創っていきました。

Q6.多くの曲をフランス語でやっていますが、どのように作られたのか?

2曲はフランス文学者の鈴木創始さん。他にフランス語教師のジャン・ピエールアブリエルさんにお願いしました。

Q7.なぜオリジナルではなくフランス語で唄うのですか?

やっぱりフランス語の響きが好きなのです。

Q8.これらのCDのオリジナルも聴いてみたいのですが、手に入るものでしょうか?

CDショップに行けば、手に入ると思います。ジャズのコーナーなどで30年〜40年代というように年代で探せば見つけられます。

Q9.最後にコンサートの予定を聞かせて下さい。

12月(注:12/21〜22の2日間を予定)に世田谷パブリックシアターで行います。『フルフル』の中で取り上げた曲を中心に、オリジナル曲を織り交ぜながら、いつものようにバレリーナやダンサーと一緒にミュージックホールスタイルの楽しい舞台にしたいと思っています。
posted by dwww at 00:00| DWWW miharu archives